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サウナの楽しみ方は、きっと多様化する。そのひとつに、お茶とのリンクがあればいい | 塩谷歩波

目次

設計事務所で勤務後、高円寺の銭湯・小杉湯で“番頭兼イラストレーター”として活動したのち、2021年に絵描きとして独立された塩谷歩波さん。

今回のChakaiでは、塩谷さんの愛する “サウナ”と“お茶”をテーマに、お話をうかがってみました。

SNSでも話題になった作品『銭湯図解』や、ドキュメンタリー番組への出演などから、塩谷さんと“絵”や“お風呂”の結びつきについてのエピソードは、知っている人も少なくないはず。ここでは、塩谷さんの新たな一面や、サウナとお茶の世界がリンクする瞬間をぜひ覗いていってくださいね。







一度は手放したものが戻ってきた



─ 最近では、サウナのプロデュースもされていますね。塩谷さんといえば銭湯のイメージがありますが、サウナも以前からお好きだったんですか?

銭湯にハマった少しあとだから……2017年に入ったころからじわじわと好きになりました。
今では日常になりすぎちゃって、どうして好きなのかわからなくなってきちゃったなぁ(笑)。

でも、初めてサウナに入ったときの感動は今でも覚えてます。今までに味わったことのない身体の変化を感じられたというか。スキッとして、キマる感じ。めちゃくちゃ気持ちよくて。世界に全肯定されているような気分になりました(笑)。

─ 塩谷さんはどんなときにサウナに行くんでしょうか?

気持ちを切り替えたいときに行くことが多いですね。仕事をしていると脳がすごく活性化している感覚になるときがあって。ちょっと落ち着きたい、と思ったら、サウナに行きます。

あとは、友だちと行ったり、仕事のクライアントさんと行ったりすることもしょっちゅうです。一緒にサウナにいくと、心も体もスカッとするから一気に距離が近づくというか。会話が弾むんですよね。




部屋の植物と雑貨─ サウナを好きになってもう4年ほど経ちますが、楽しみ方などの変化はあったりしますか?

サウナにハマりたてのころは、とにかくシャキッとして、ハイになる感じが気持ちよかったけど、慣れてくるとその感覚も少しずつ変わってきて。最近は、入るとシャキッとして、出たあとだんだんリラックスしていく……っていう感じなんです。脳はしっかり動いてるけど、身体はリラックスしていく感じっていうのかなぁ。

─ 日常に馴染むことで、楽しみ方が変わるのが面白いですね。

そうなんです。でも、私みたいな人、増えてきていると思う。だからこれからサウナブームは一度落ち着いて、もっとお風呂みたいな、当たり前の存在になっていくと思ってます。

─ ブームが定着したらサウナの楽しみ方ももっと多様化していきそうですね。そうしたら、塩谷さんのプロデュースの機会も増えていきそうです。

そうなるといいですね。
今進めているサウナプロデュースもすごく楽しくて。クライアントさんとも、もっとやりたいよね、と話しているんです。




談笑する塩谷歩波─ サウナプロデュースの、どんなところが楽しいですか?

サウナが好きなのももちろんですが、設計が面白いなと思っていて。
私、もともとは設計事務所で働いていたけど、体調をこわして銭湯に転職して……という経験があるので、少し前までは「もう二度と設計はやらないんだろうな」って思ってたんです。でもこうやって、まわりにまわって、また設計の仕事をしていることがすごく面白い。

昔の私は、大学の成績があんまりよくなかったりで、コンプレックスを原動力にしてしまっていたところがあったけど、今はそういうしがらみから離れて、純粋に設計できています。それでやっと、「私、結構設計好きじゃん」って思えるようにもなったんですよね。

─ 一度は設計のお仕事から離れることになっても、その後、絵を描いたり、銭湯で働いたり……と、好きなことを突き詰めてきた結果、「絵とお風呂をきっかけにサウナをプロデュースする」という、塩谷さんにしかできない設計のやり方にたどりついたのが面白いですね。

本当にすごいですよね。
一度は手放そうと思っていたものが、こうやって戻ってくるのが不思議だなって思います。

私が設計をするときには、「ここの場所で、こんな人がこう過ごしてくれたらいいな」っていうのをとことん考えるんです。たとえばサウナでも、「みんなで汗をかいて過ごしているときに、こんな風景が見えたらいいよね」「水風呂でこうやって楽しんでくれたらいいよね」みたいなことを、いっぱい想像するのが大好きで。それを実現するために手を動かす時間が、本当に楽しいです。



机に置かれた建物のイラスト

縦にも、横にも広がる世界に惹かれて



─ 塩谷さんは、お茶も好きだと聞きました。いつからお茶を飲むようになったんですか?

たしか、2020年の3月くらい。コロナ禍でできることが減って、家での過ごし方をいろいろ考えるようになったんです。そのなかで、食品も売っている雑貨屋さんで見つけたハーブティーをなんとなく買って、飲んでみたら、めちゃくちゃおいしくて。ハーブティーって、こんなに味わいがあって面白いんだって、衝撃でした。

それ以降は、とにかくいろいろなお茶を買うようになりましたね。ハーブティーに限らず、紅茶も、日本茶も。一度好きになるとのめりこむタイプなので、お茶の種類や製法の違いなんかも調べるようになったり、道具も揃えてみたり。

─ 中国茶との出会いは、いつごろだったのでしょうか?

2021年の3月ごろですね。そのとき私はまだ小杉湯に所属していて。週末、となりの軒下でHaaが中国茶スタンドをやっていたんです。それで飲んでみたら、「めちゃくちゃうまい!」となって。中国茶って、まだ日本にあまり市場がないので。興味はあったけれど、「どこで買えばいいの?」って感じだったんです。だから、本格的な中国茶を初めて飲んで、「なんじゃこりゃ!」と、これまた衝撃でした。




話す塩谷歩波─ 中国茶のどんなところに惹かれましたか?

うーん、おいしいところ……?
サウナと一緒で日常になりすぎて、どんなところが好きなのか、わからなくなっちゃった(笑)。

Haaで最初に飲んだのは、たしかジャスミン茶だったかな。それまで飲んだことがあったよくあるジャスミン茶とは、全然違ったんです。味わいがフルーティーで、華々しくてみずみずしい。その奥深さが、それまで体験したことない感じで。飲み口から、口に含んだあと、飲み終わり、その後の口の中の広がり……と、全部違うのが面白すぎて。「まるでワインじゃん!」と思いました。

あとは、話を聞けば聞くほどいろいろな種類のお茶があるし、歴史もとてつもなく古いし……そのあたりの面白さも、惹かれたポイントかもしれません。何十年も熟成させたお茶があることなんかも知って。縦にも横にも広い中国茶の世界に心を掴まれたというか。




火にかけられたやかん─ お茶を飲むようになって、塩谷さんご自身に何か変化はありましたか?

以前は、お腹が弱かったんです。週に一度はお腹をこわすくらいだったんですけど。それがなくなりましたね。お茶を好きになってから、冷たいものをほとんど飲まなくなったからかなぁ。前は、冷たいジュースや栄養ドリンクもすごく好きだったんですよ。でも今は、「お茶飲んだほうがよくない?」って思って。お酒も飲まなくなりましたね。

あとは、これはお茶のおかげなのかどうかはっきりとはわからないけれど、常にリラックスできるようになったかも。以前は、絵を描いていると集中しすぎてギラギラしちゃう感じだったのが、今は常にリラックス。最近は、ハイになるタイミングがほとんどなくて、ずっと落ち着きっぱなしです。

─ リラックスできるようになったことで、作品づくりへの姿勢なども変わりましたか?

どんなときも気構えなく描けるようになったから、良い意味で“仕事”っていう意識が薄れた気がします。それと、「自分の絵、うまいな」って思えるようにもなったんです。きっと、気持ちに余裕ができたからですね。




植物と塩谷歩波

スイッチを入れて、リラックスへと導いてくれる存在



─ サウナとお茶の共通点って、何かあったりするんでしょうか。

やっぱり、どれだけ忙しいときでもリラックスさせてくれるところですかね。サウナも行けばリラックスできる場所だし、お茶も飲めばほっとできるから。

サウナ好きの人たちが、上がったときにお茶を飲むのもすごくいいと思うんです。サウナーの間では“オロポ”(オロナミンCとポカリスエットを合わせたもの)が人気だったりもするけど、私の場合は湯上がりにも温かいものを飲みたいんですよね。とくに女性って、冷たい飲み物があんまり得意じゃない人も多いし、サウナ後に外気浴をしていると末端が冷えるっていう話もよく聞きますし。

お茶のなかでも中国茶は、心地よい“茶酔い”を味わえるというか。気持ちがほわーっとする感じがあって、サウナ後のギラッとした状態を、ほどよくゆるめてくれる。だから、よりリラックスしたい人のためにも、サウナ施設に中国茶があればいいのになって、いつも思ってます。




画材とイラスト─ 今後、塩谷さんがプロデュースされるサウナで、お茶とのコラボレーションも生まれていくかもしれませんね。

ね、面白そうですよね。ジャスミン茶のロウリュとか、お茶の入った水風呂とかもよさそう……。これから、サウナブームが定着することで、楽しみ方も多様化していくと思うから。そのなかのひとつに、お茶とのリンクが生まれていくといいですよね。

あと、個人的にはいつか自分のアトリエを持ちたいなと思っているんです。路面のところで、誰かお茶スタンドをやってくれたらいいなって。私はそこのお茶を飲み放題で、さらに2階にサウナがあったら最高だな、なんて考えたり……(笑)。

─ いろいろ、楽しい想像が膨らみますね。

お茶は、私にとって純粋に趣味というか、いつでもそばにいてほしい存在なんです。
だから、これからももっと勉強して、お茶の見識を深めたいな。今度、知る人ぞ知る中国茶屋さんが主催する、本格的なお茶の講座にも参加してみたいなと考えているところです。せっかく大好きになったから、“淹れ手”としてももっとおいしいお茶を淹れられるようになりたいと思います!









< Profile >

塩谷歩波│Honami Enya

絵描き。1990年生まれ。早稲田大学大学院(建築専攻)を修了後、有名設計事務所に勤めるも、体調を崩す。休職中に通い始めた銭湯に救われ、銭湯のイラスト「銭湯図解」をSNS上で発表。これが評判を呼び、小杉湯に声をかけられ番頭として働くようになる。2021年には絵描きとして独立。最近では設計のスキルを活かしてサウナのプロデュースも手掛ける。好きな水風呂の温度は16度。


Instagram: @enyahonami



塩谷歩波の部屋Photo: Rintaro Kanemoto
Edit&Writing: Kyoka Sasanuma



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肩の力を抜いて楽しめる、自由でフラットな中華料理を届けたい | 中華可菜飯店 五十嵐可菜
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お茶を飲む行為を、“日常茶飯事”に。SA THÉ SA THÉがブランドに込めた思い | サテサテ カイノユウ
お茶を飲む行為を、“日常茶飯事”に。SA THÉ SA THÉがブランドに込めた思い | サテサテ カイノユウ
モデルとして活躍されているKAINO Yuさんは、日本茶のブランド「SA THÉ SA THÉ(サテサテ)」のブランドオーナーでもあります。「まさか自分がお茶のブランドをやるなんて思っていなかったんです」と語るYuさんが教えてくれたのは、小さい頃から実家で何気なく飲んでいたお茶の思い出でした。 日本茶は常に身近な存在 ─Yuさんがお茶に関心を持つようになったのはどんなきっかけだったのでしょうか。実は実家がおじいちゃんの代から、袋詰めと加工を請負でやっている工場を経営していたんです。また地元が静岡だったこともあって、幼い頃から日本茶は常に身近な存在でしたね。毎朝お茶を飲むのが習慣でしたし、新茶の時期は当然に新茶が食卓に並ぶほど。大人になってから振り返ってみると、当時飲んでいたのは上質なお茶だったんだなと気づきました。─では、ゆくゆくは家業を継ごうと……?いえ、それがお茶を仕事にしようと考えたことはなくて。SA THÉ SA THÉを立ち上げたのは、コロナウイルスの流行によって父と話す機会が増えたことがきっかけでした。「もっとお茶を若い人や新しい層の人たちに飲んでほしい」という父の思いや、コロナウイルスが後押しとなっていくつもの老舗のお茶屋さんがお店を畳んでしまっている事実を知り、私も「何か手伝えることないかな」と思ったんです。 もっと親しみやすいお茶のブランドを そこで、せっかく感度の高い人たちが集まる東京にいるのだから、自分の周りにいる人たちと一緒にもっと親しみやすいお茶のブランドを作ってみるのはどうだろう、と。父に提案したら快く「やろう」と言ってくれて、SA THÉ SA THÉがスタートしました。─「SA THÉ SA THÉ」というブランドネームにも、そういった思いを込めているのでしょうか。そうですね。SA THÉ SA THÉの“SA”には二つの意味があるんです。「日常茶飯事(ニチジョウサハンジ)」の「サ」は「茶」って書きますよね。日常的にお茶を飲んでほしいという思いがあったので、そこから「SA」をとりました。もう一つは、フランス語の「sa」から。「sa」は彼女で、「the」はお茶という意味。つまり“彼女のお茶”ですね。さらに日本語でひと息ついた後にもうひと頑張りしようとするときに言う“さてさて”もかけているんです。─まさにブランドを体現している名称なんですね。SA THÉ SA THÉさんの緑茶を実際にいただいたのですが、とろみがあって舌にどんと残るような味わいでした。スーパーにあるちょっといいお茶ともまた違うように感じます。スーパーのものだと大量生産の茶葉や二番茶を使っているものも多いのですが、​​SA THÉ SA THÉで基本的に使っているのが一番茶だからかもしれません。ただ、お茶の好みは人それぞれなので、大量生産のものや二番茶が悪いというわけではなくて。SA THÉ SA THÉではあくまでも本格的なお茶を手軽に楽しんでほしいからこそ、品質も含めこだわり持って茶葉を届けたいと思っています。─「一番茶」と「二番茶」の違いもぜひ教えてください。農園さんや地域によって異なりますが、大体4月から5月くらいの一年間で一番最初に摘んだ新芽で作ったお茶を一番茶と言います。いわゆる新茶ですね。その後に摘みとられてできるお茶を二番茶と呼びます。一番茶と二番茶では味も全然違うんですよ。一番茶の芽は冬に眠っている間の栄養を蓄えているので、甘さや旨味がとても強く感じられます。 まずは「おいしい」か「おいしくない」か 番茶だと割とさっぱりしたものもありますが、旨味は日本茶ならではですね。中国茶は、同じ緑茶でもお花のような香りのものが多いイメージです。─日本茶は茶葉を摘んだ後蒸すのに対し、中国茶は炒る、という製法の違いがそれぞれの特徴を生み出すのでしょうね。美味しく味わうためにはやはり急須に淹れて茶葉で飲むのが一番だと思うのですが、SA THÉ SA THÉさんはティーバッグで販売されていますよね。普段お茶を飲まない方にとって急須で淹れるのってなかなかハードルが高いですよね。だから最初はティーバックから気軽に楽しんで、まずは美味しさに気づいてもらえたら嬉しいなと思っています。例えば今あるレギュラーの“TIME”は日常のどんなシチュエーションでも飲みやすい、一人一人の生活に寄り添えるようなブレンドにしています。日本茶だけでも、とにかく産地や品種、製法など種類がたくさんあるじゃないですか。色々な品種を集めて販売することもできなくはないんですが、​​SA THÉ SA THÉは専門性の高さを売りにはしたくなくて。まずはこれが「おいしい」か「おいしくない」か。「好き」か「好きじゃない」か。そんな気軽な気持ちでお茶を選んでもらいたいです。興味を持ってくれた方により専門性の高いお茶屋さんを紹介することもあるし、高級なお茶屋さんもあっていいし、そこは役割分担なんじゃないかなと。 お茶を飲むことは、自分の時間を大事にする行為 私はあくまでも、お茶をみんなに楽しんでもらうためのきっかけが作れたらいいなと思っています。─肩に力を入れすぎずお茶を楽しんでもらいたい、というのがHaaとも共通する考え方だなと感じています。中国では昔から茶館にみんなで集まって人と繋がったり、家族の団欒のときにお茶受けが置いてあったりしたのですが、日本でもそういった文化はありますよね。そうですね。おもてなしの一環として振る舞う文化がありますが、元を辿れば中国からきたものですし。また、煎茶はもともと庶民が飲むために作られたもので、くつろいだ雰囲気の中でお茶を飲むという習慣は昔からあったようです。実際にお茶を囲みながら話していると、心もリラックスして上辺だけじゃない話をゆっくりできる気がします。─今の時代において、Yuさんはお茶をどのように楽しんでもらえたらいいなと思いますか?お茶を飲むことは、自分の時間を大事にする行為だと思うんです。慌ただしく時間が過ぎていく現代だからこそ、お茶を飲む空間や行為がもっと広まっていったら嬉しいですね。< Profile >カイノユウ|KAINO Yu静岡県出身。2014年、ファッション誌でモデルデビュー。雑誌、カタログ、広告を中心に活躍。2020年に、自らの日本茶ブランド「SA THÉ SA THÉ(サテサテ)」を立ち上げたお茶好きでもある。Instagram: @yuio2580SA THÉ SA THÉ色々とめまぐるしく変化する世の中美味しいお茶を飲み、心を落ち着かせひと息つく機会になってくれたら嬉しいという思いとより多くの人に緑茶の”本当の美味しさ”を知ってもらい緑茶を日常的に飲む機会を 増やしてくれたら-そんな思いで始めたブランドです。皆様の日常が、SA THÉ SA THÉのお茶と共に素敵なものとなりますように。HP: https://shop.sathesathe.com/Instagram: @sathe_sathe_official < Space >美菜屋|MINAYA 「美しい“菜”を食べる。”菜“を食べて美しくなる。」雑誌や広告、CM、テレビ収録などの撮影現場やイベントでのお弁当、ケータリング。また、スポーツ前後のリカバリーフード、パワーフードの提案。レシピ提供などを行なっている。154-0001 東京都世田谷区池尻3-3-7HP: https://www.minayainc.com/Instagram: @minayaincPhoto: Rintaro KanemotoEdit&Writing: Hirai Megumi中国茶専門店Haaは、公式通販オンラインストアにて販売しています。最新のブランド情報はニュースレターにご登録をいただくか、インスタグラムのご確認をお願いいたします。
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